川崎医療生活協同組合 久地診療所 KUJI CLINIC

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「No.19 タンザニアから帰ってきました」掲載しました。

2018/06/08

タンザニアから帰ってきました!

 お久しぶりです! 久地診療所で2015年まで家庭医として勤務していましたYです。2015年4月から、国際保健医療協力に参加するため、JOCS(公益社団法人 日本キリスト教海外医療協力会)というNGOの職員として、3年間アフリカのタンザニアの地方の医療機関で活動していました。2018年3月に任期が終わって帰国したばかりです。任期の最後の方にテレビ番組で活動が紹介され、川崎協同病院や久地診療所で働いていた時の在日外国人の患者さん達との出会いなどが、タンザニアなどの発展途上国での医療協力に興味を持ったきっかけだったとお話ししました。

 タンザニアはアフリカの東部にあります。日本からは中東で飛行機を乗り継いで、1日半程度かけて国内最大都市のダルエスサラームへ到着します。人口は日本の約3分の1、面積は日本の約2.5倍、降水量は日本の半分以下で、広大なサバンナに少ない人がまばらに住むイメージです。平均年齢は65歳、一人当たりの平均月収は1万円以下です。私が3年間活動していたタボラ州は都市部から更に約800km離れ、バスで15時間かけて移動します。

 さて、タボラ州で何をしていたのかと言いますと…タボラ州中心部の郊外にある聖アンナ・ミッション病院と、タボラ大司教区保健事務所で医師として活動していました。
 病院では救急外来や病棟でよくある病気(マラリア、下痢症、低栄養状態など)の診療の支援をし、またタボラでは慢性疾患(高血圧、糖尿病、心不全など)の患者さんが継続して良い治療を受けられる仕組みがなかったので、そのケアを行う外来を立ち上げました。私が去った後も現地の医療スタッフだけで外来を継続できる仕組みを整えて、医療技術を伝えることに力を入れました。
 保健事務所では、管轄する法人内の10の病院・診療所などの医療施設の診療を改善するために、診療統計作成や、巡回視察、職員研修会の開催を支援する活動をしました。具体的には、地域の医療状況を知るために診療統計を作成して、例えば、ある地域の医療施設ではマラリアで亡くなる5歳未満の子どもの数が増えていることが判明しました。そこで、年4回の各施設の巡回視察や、年1回の関連医療施設職員の研修会の機会に、マラリア治療の専門家に来てもらい、最新のマラリアの治療の方法を現地のスタッフに教えるのを支援しました。
 タボラは人の笑顔が素敵な良い町でしたが、医療を支える電気・水・器材・人材がとても不足していました。人口10万当たりの医師数は日本の100分の1程度でした。患者さんに必要な医療を届けられない環境は心身ともに楽ではありませんでしたが、少しずつ一緒に働くスタッフや関わり続けている患者さんの行動が変わり、タボラの医療状況の改善に多少なりと貢献したと感じた時、活動の喜びを感じました。
久地診療所や川崎医療生協で働いた時の経験が、タンザニアでも活かされて任期を全うできたと思います。送り出してくださり、本当にありがとうございました。また今後も久地診療所に来ますので、どうぞよろしくお願いします。

A.Y